【ABR 2024-No. 16】コバルト60の崩壊!1.25MeVの平均エネルギー、徹底解説!
医学物理士の知識を「読み物」として楽しむシリーズ。 第16問目は、ガンマナイフやかつての遠隔治療装置で主役を担った「Co-60」について。臨床現場でも試験対策でも必須となる「平均エネルギー」の導き方を整理しましょう。
今日の英文クイズ (The Question)
Question:
What is the average photon energy resulting from the decay of Co-60?
A. 0.380 MeV
B. 0.412 MeV
C. 0.662 MeV
D. 1.25 MeV
E. 1.33 MeV
日本語訳とキーワード
「Co-60(コバルト60)の崩壊によって生じる、平均光子エネルギーはどれ?」
- average photon energy: 平均光子エネルギー
- decay: 崩壊
- beta-decay: ベータ崩壊
- ground state: 基底状態
答えと解説 (Answer & Explanation)
正解は D. 1.25 MeV です。
Co-60は、ベータ崩壊(β-崩壊)を経てニッケル60(Ni-60)に変化します。このとき、Ni-60は励起状態から安定した「基底状態」へ移行するために、2種類のガンマ線を放出します。
- 1.17 MeV
- 1.33 MeV
これらのガンマ線はほぼ1:1の割合で放出されるため、ビーム全体の「平均エネルギー」は以下の計算式で求められます。
(1.17 MeV + 1.33 MeV) / 2 = 1.25 MeV
他の選択肢について:
- B. 0.412 MeV: 金198(Au-198)の主要なエネルギー。
- C. 0.662 MeV: セシウム137(Cs-137)の主要なエネルギー。
- E. 1.33 MeV: 放出される2本のガンマ線のうち、高い方のエネルギー値。
ひとこと(物理士の基礎体力)
「1.25」という数字に隠された意味
放射線治療の歴史において、Co-60は非常に大きな役割を果たしてきました。この1.25 MeVという平均エネルギーは、リニアックでいうところの「4MV」程度の透過力(深部量率)に相当します。
リニアックのように複雑な電子回路を必要とせず、ただそこにあるだけで一定のエネルギーを出し続けるCo-60は、メンテナンスが困難な地域や、高い精度が求められるガンマナイフなどで今もなお現役です。
「1.17と1.33の真ん中、1.25」。この数字は、医学物理士を目指す皆さんにとって、呼吸するように思い出せるようにしておきたい大切な値ですね。
