医学物理士の知識を「読み物」として楽しむシリーズ。 第16問目は、ガンマナイフやかつての遠隔治療装置で主役を担った「Co-60」について。臨床現場でも試験対策でも必須となる「平均エネルギー」の導き方を整理しましょう。

今日の英文クイズ (The Question)

Question:

What is the average photon energy resulting from the decay of Co-60?

A. 0.380 MeV

B. 0.412 MeV

C. 0.662 MeV

D. 1.25 MeV

E. 1.33 MeV


日本語訳とキーワード

「Co-60(コバルト60)の崩壊によって生じる、平均光子エネルギーはどれ?」

  • average photon energy: 平均光子エネルギー
  • decay: 崩壊
  • beta-decay: ベータ崩壊
  • ground state: 基底状態

答えと解説 (Answer & Explanation)

正解は D. 1.25 MeV です。

Co-60は、ベータ崩壊(β-崩壊)を経てニッケル60(Ni-60)に変化します。このとき、Ni-60は励起状態から安定した「基底状態」へ移行するために、2種類のガンマ線を放出します。

  1. 1.17 MeV
  2. 1.33 MeV

これらのガンマ線はほぼ1:1の割合で放出されるため、ビーム全体の「平均エネルギー」は以下の計算式で求められます。

(1.17 MeV + 1.33 MeV) / 2 = 1.25 MeV

他の選択肢について:

  • B. 0.412 MeV: 金198(Au-198)の主要なエネルギー。
  • C. 0.662 MeV: セシウム137(Cs-137)の主要なエネルギー。
  • E. 1.33 MeV: 放出される2本のガンマ線のうち、高い方のエネルギー値。

ひとこと(物理士の基礎体力)

「1.25」という数字に隠された意味

放射線治療の歴史において、Co-60は非常に大きな役割を果たしてきました。この1.25 MeVという平均エネルギーは、リニアックでいうところの「4MV」程度の透過力(深部量率)に相当します。

リニアックのように複雑な電子回路を必要とせず、ただそこにあるだけで一定のエネルギーを出し続けるCo-60は、メンテナンスが困難な地域や、高い精度が求められるガンマナイフなどで今もなお現役です。

「1.17と1.33の真ん中、1.25」。この数字は、医学物理士を目指す皆さんにとって、呼吸するように思い出せるようにしておきたい大切な値ですね。

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コテツム
「物理の教科書、日本語なのに意味不明」と絶望した経験から、世界一わかりやすい放射線治療の解説を目指してブログを書いています。 天才肌ではないので、凡人がどうやって知識を定着させるか、その「泥臭い攻略法」をシェアします。
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