医学物理士の知識を「読み物」として楽しむシリーズ。 第11問目は、放射線物理学の基本現象である「制動放射」についてです。「ブレーキ(制動)」という名前の通り、粒子が減速するときに起きるこの現象。一体どんな粒子が主役になるのでしょうか?

今日の英文クイズ (The Question)

Question:

Which of the following particles can have a bremsstrahlung interaction?

A. neutron

B. positron

C. neutrino

D. anti-neutrino

E. photon


日本語訳とキーワード

「次の粒子のうち、制動放射相互作用を起こすことができるのはどれ?」

  • bremsstrahlung interaction: 制動放射(せいどうほうしゃ)相互作用。ドイツ語の「Bremsen(ブレーキ)」と「Strahlung(放射)」に由来します。
  • deceleration: 減速。
  • charged particle: 荷電粒子(電荷を持っている粒子)。
  • electric field: 電場(電気的な力が働く場所)。

答えと解説 (Answer & Explanation)

正解は B. positron(陽電子) です。

制動放射が発生するための絶対条件、それは「荷電粒子(電気を持った粒子)が、別の電荷(主に原子核)の電場によって減速させられること」です。

電気的に中性な(電荷を持たない)粒子は、電場の影響を受けないため、制動放射を起こしません。

選択肢を見てみましょう。

  • A. neutron(中性子): 電荷はゼロ(中性)。NG。
  • B. positron(陽電子): プラスの電荷を持っています(電子の反粒子)。OK!
  • C. neutrino(ニュートリノ): 電荷はゼロ。NG。
  • D. anti-neutrino(反ニュートリノ): 電荷はゼロ。NG。
  • E. photon(光子): 電荷はゼロ。NG。

電荷を持っているのは陽電子だけなので、制動放射を起こすことができるのは陽電子となります。(もちろん、負の電荷を持つ電子も制動放射の主役です。)


ひとこと(電気のブレーキ)

制動放射 = 荷電粒子のブレーキランプ

例えるなら、制動放射は「電気を持った車(荷電粒子)が、原子核という大きな壁(電場)に近づいて急ブレーキをかけたときに点灯する、ブレーキランプの光」のようなものです。

車(粒子)自体が持つエネルギー(スピード)が、ブレーキをかけたときに光(X線やガンマ線)に変換されて外に飛び出します。電気を持っていない車(中性子やニュートリノ)は、原子核の壁に近づいてもブレーキをかける必要がない(電場の影響を受けない)ので、ブレーキランプは光らない、というわけですね。

陽電子も電子も、プラスかマイナスかの違いはあれど、どちらも立派な「荷電粒子」。この基本的なルールさえ覚えておけば、もう迷うことはありません!

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コテツム
「物理の教科書、日本語なのに意味不明」と絶望した経験から、世界一わかりやすい放射線治療の解説を目指してブログを書いています。 天才肌ではないので、凡人がどうやって知識を定着させるか、その「泥臭い攻略法」をシェアします。
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