【ABR 2024-No. 6】原子の中の格差社会?プロトンとエレクトロンの質量差
医学物理士の知識を「読み物」として楽しむシリーズ。 2024年度の第6問目は、原子を構成する基本粒子の質量についてです。プロトン(陽子)とエレクトロン(電子)、どちらがどれくらい重いのか、その圧倒的な差を実感してみましょう。
今日の英文クイズ (The Question)
Question:
Approximately how many times larger is the mass of a proton than that of an electron?
A. 1.8
B. 18
C. 180
D. 1800
E. 18000
日本語訳とキーワード
「プロトンの質量は、エレクトロンの質量の約何倍?」
- proton (プロトン/陽子): 原子核にある、プラスの電気を持った粒子。重い。
- electron (エレクトロン/電子): 原子核の周りを回っている、マイナスの電気を持った粒子。とても軽い。
- times larger (〜倍大きい): 比較の表現。
答えと解説 (Answer & Explanation)
正解は D. 1800 です。
プロトンとエレクトロンの質量は、物理学的な単位で比べるとその差がはっきりします。
- プロトンの静止質量エネルギー:約 938 MeV
- エレクトロンの静止質量エネルギー:約 0.511 MeV
この2つを割り算してみましょう。
938 / 0.511 ≒ 1836
つまり、プロトンはエレクトロンの約1836倍重いのです。選択肢の中で最も近いのは「1800」となります。
これほど大きな差があるため、原子の質量はほぼプロトン(とニュートロン/中性子)だけで決まります。エレクトロンは非常に重要ですが、質量という点ではほとんど影響しません。
ひとこと
「約1800倍」。 もしエレクトロンが「1kgの猫」だとすると、プロトンは「1.8トンの白いゾウ」くらい重いことになります。原子の中は、実はゾウとネコぐらい違う、圧倒的な質量格差社会なんですね。
