残された時間をどう生きるか。『妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした』
「余命宣告」。もし自分や家族がその言葉を突きつけられたら、残りの時間をどう過ごせるだろうか。 そんなことを考えさせられる本に出会いました。小林孝延さんの『妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした』です。

この本は、単なる闘病記でも、かわいそうな犬の物語でもありません。 「死」という避けられない現実を前にして、それでも家族が「生」を輝かせようとする記録です。その中心にいたのが、保護犬の「福」でした。
病気が進行し、医療的な手立てが限られていく中で、それでも「心の平穏」や「笑顔」は作り出せる。そのきっかけを作ったのが、言葉を持たない一匹の犬だったという事実に心を打たれます。
人間はどうしても「これからどうなるんだろう」と未来を悲観してしまいますが、犬の福は違います。ただ、今日のご飯を喜び、散歩を楽しみ、家族のそばにいることだけを幸せと感じている。 その姿が、余命というリミットのある時間を「嘆く時間」から「愛し合う時間」へと変えていったのではないでしょうか。
読み終えて、自分の家族や大切な存在と過ごす「何気ない今日」が、どれほど愛おしいものか再確認しました。 涙なしには読めませんが、読後は不思議と力が湧いてくる、生命力にあふれた一冊です。
